母にピアノを勧めてみた

母が【鍵盤】と関わりを持つようになりました。半年ほどが経過し、ピアノ講師という立場から感じたことを綴らせて頂きたいと思うようになりました。この場をお借りして大変恐縮ではございますが、少しづつ更新させて頂きたいと思っております。ご覧頂ければ幸いです。

Step1 恐る恐る…

何時頃からだろう…母の物忘れが気になり始めた。結局医学的には問題はなかったのだけれど、このまま放ったままにしておくのも気掛かりだったので、少々遠慮気味に(;´∀`)「キーボードを弾いてみない?」とたずねてみた。拍子抜けするほど「いいわね~」!(^^)!と乗り気だったため、気が変わらないうちにと実家へ配送すること


Step2 届いたものの

早々に荷物は届いたものの、荷を解かぬまま部屋の片隅に置いたままである( 一一)本人曰く「壊したら大変だから…」と触ろうともしない。こんな時遠方に住んでいる娘など何の役にも立たない( ;∀;)当初は姪にお願いをして実家に行った時に弾いてもらっていた。母にとって家事をしながら聞こえてくるピアノの音は懐かしく心地良く感じるものであるらしい。それだけで脳に利くのではないかと私は期待を膨らませた。

Step3 次なる課題

何とか楽器が箱から出たものの、母が「弾く」という行動に至るまでには、まだまだ課題があることに気付かされることになる(>_<)何といっても電話ではキーボードの電源をを入れることすら説明できない(ーー;)こんな単純なことが…と思ってしまうが、多くのボタンの中から主電源の位置を伝えるのは至難の業であった。困り果てた末、家族の協力を得てオンラインを活用することとなった。結果状況は好転したのであるが、母が操作が出来るようになるまでにひと苦労あったことは言うまでもない(;^ω^)

Step4 マーキング

通信環境が整った後、使用状況の確認も兼ねて家族に実家へ行ってもらった。その際キーボードに、主電源など必要な機能にマスキングテープで印をつけてもらうことにした。画面を通して家族間で様子を確認し合いながら使い勝手の良い方法を探っていった。ここで学んだことは、マーキング、キーボードの操作説明書は短く簡潔に記すこと。いずれも太いマジックで大きな文字で書いたため母は大変喜んだ。。こうして母とのピアノのおけいこが始まった(^^♪

Step5 愚か者

使用しているキーボードにはナビ機能が付いていて既成の伴奏に合わせて演奏を楽しむことができる。恥ずかしながら、私はキーボードがこれほどまでに弾き手に優しい楽器だということを知らなかった(-_-;)弾き手が伴奏に合わせるのではなく、弾き手に楽器が合わせてくれる…とても衝撃的だったΣ(゚Д゚)私のこれまでの概念とは真逆の発想である。感心する一方で、自らを恥じた。近年電子ピアノで練習している生徒さんが多い中で、内容を知った気になっていたことは大いに反省すべき点である。個々の目的によって楽器や教材選びは慎重になるべきだと改めて学んだ次第である.

Step6 記憶の引き出し

母のお気に入りの曲は「ひのまる」という曲である(*^^*)こちらがナビを用いて弾いてみることを勧めても全く興味を示さない…というより、私の声さえ耳に入っていなかったように感じた。ただひたすら繰り返し弾いている( ;∀;)本人曰く、「ドレミを覚えていた」とのこと。記憶の引き出しはまだまだありそうだと思い、ナビ曲の中からピックアップして弾いてもらうことにした。

Step7 レパートリー

キーボードが手元に届いてから2か月後には、徐々に操作にも慣れ、私が番号を言えば本人が入力してナビ曲を出すことが出来るようになった。さくらさくら、ほたるのひかりを提案してみた。ポジションの移動も生じ難しいのでは?と様子を見ていたが、この点も機能のおかげで何とかなっている。知っている曲なのでリズムもまずまず。指は右手の123番を使って弾いていた。ここから1ヶ月半ほどは同じ曲をひたすら繰り返し練習していた。何より本人が楽しそうなので、ひとまずほっとした私である(;^_^A

Step8 もどかしい

レパートリーも順調に増え安定の状態。そんな時母から両手で弾いてみたいとの依頼が。そのような嬉しい希望には答えたくなるなるではないか(;^ω^)ここまで弾けるのなら機能に頼らず読譜をしてひけるのではないか?と欲を出してしまった。結果は失敗。最後の音1音だけ左手で…というだけでも本人にとっては弾きにくい。側で手を持ってあげたらタイミングを伝えられたかもしれない。オンラインレッスンの中、画面から手を伸ばせるものなら伸ばしたいと何度思ったことだろう。遠隔レッスンの難しさを感じた。

Step9 焦ることなかれ

結局、一旦両手奏は見送って左手のみでメロディを弾いてみることにした。片手に意識を集中している方が本人にとっては負担が少なかった。再びキーボードの機能を使い楽しむことにした。とても知っている楽曲から、聴いたことあるな~くらいの曲まで負担を感じずに弾けて嬉しそうだった。ミッキーマウスマーチのような符点のリズムの曲は頭でわかっていても弾くことは難しい。内蔵されているものを聴いてから弾くことを繰り返し行うことでだんだんそれらしく(;´∀`)なってくる。焦らない焦らない。私の勝手な欲は時には毒となると反省した次第である(ーー;)

Step10 ファックス

キーボードの操作以上に慌てたのは、ファックスの扱いであった。オンラインでのレッスンがスムーズに運び、レパートリーを共有するためファックスを利用した。私が母の調子に合わせて曲名と登録番号をA4用紙にマジックで書き込み送信。ところが受信が出来ず画面の向こうであたふたしている( ;∀;)私には焦りしかない。母はどちらかというと機械に疎い方ではなく、そんなことで迷う人ではなかったから。大騒ぎの末ようやく受信完了。その後は滞りなく運ぶようになりほっとしている。使わないと忘れてしまうんだな…反省<(_ _)>

Step11 継続することの意味

反省といえば…私が私用に追われ母への連絡を怠ってしまった時期があった。週1でのオンラインレッスンどころか電話連絡さえもである。久しぶりに電話での会話がぎこちなく感じた。大切なのはこまめにコミュニケーションを取ることだったのかな…キーボードもその手段のひとつかな…電話で話をしながら猛省している私に、調子が上がってきた母の話は止まることを知らない(-_-;)これはまずい…今後継続不能になってしまう…( 一一)実感した私は、以降母への連絡を後回しにすることを控えるよう努めている。…(;'∀')

Step12 特別なときだからこそ 

コミュニケーションを取ることがいかに大切か・・・私は改めて痛感している。現在新型コロナの影響拡大で人の行き来が困難になってしまった。こんな時だからこそ連絡を取ることの大切さを感じる。実家への人の出入りが減ってしまった事で、母の受け答えの反応が鈍ってしまったと感じ焦った。。オンライン上でのレッスンは指導の便利さもさることながら、コミュニケーションそのものが大切だと実感している。私自身帰省が出来なくても顔を見て話しが出来ることは喜びでもあり、親を孤独な状態にさせなくて済んだことは幸いなことであったと思っている

step13 勉強してよかった

世の中は「新しい生活様式」の中でのマスク着用、その上猛暑である。報道は「高齢者は不要な外出を控えて」「帰省は控えてください」「熱中症にご注意を」。その言葉は間違っていないし納得している。しかし私は、このままでいいのか?と不安を抱くようになった。高齢者のコミュニケーションの場が減り、孤独や寂しさの中、認知症の患者が増加しないだろうかと…(-_-;)医療従事者である友人の助言で【認知症介助士】という存在を知り資格を取得した。結果、冷静に向き合う糧となり友人に感謝しているところである。母には可能な限り毎日の連絡を取ることを自分に課し現在進行形である('◇')ゞ

step14 孫は偉大

私が毎日連絡を取る中、休日は子供に電話やオンラインでの会話を任せることにしている…というのも反応が違いすぎるのである。娘である私との会話ではありえないほどの笑み( ;∀;)笑顔爆増!!Σ(・ω・ノ)ノ!なのである。普段は電話での長話はしない父もこの時とばかりは画面に登場し、笑顔で会話を楽しんでいる…(*_*;恐るべし孫の存在に感謝(*´▽`*)